戦略論

戦略はプロアクティブ思考で立案すべきである。
著名な経営戦略モデルは必ずしも意志決定の役に立たない。
直感は環境変化に対しては無力である
戦力集中は必勝戦略の基本である
戦力の集中は、経営の永続性について限界を持つ

戦略論は何千年も昔から研究されていて、それでいていまだに必勝の戦略というのは発見されていません。我々が発見したのは、経営学の隆盛が戦略立案を混乱させているようだということです。これまでに提案されてきた数々の戦略モデルは、考え方のヒントにすぎず、戦略モデルを使ったからといって勝てる戦略を生み出せる分けではないのです。経営学が提示してきた数々のモデルは、パッシブ(認識型)のモデルが多く、プロアクティブ(先読み型)のモデルではありません。ポーターの提示した「コスト/差別化」のモデルは論理的で説得力があり一見戦略立案に有効のように見えますが,低コスト戦略を選んでも差別化戦略を選んでも勝利が約束される分けではないのです。どちらを選んでも成功するかもしれないし失敗するかもしれないのです。低コスト戦略を選んだ際にも,競争相手の出方次第で様々な展開が予想されます。差別化戦略を選んだ際にも同じことがいえます。想定されるシナリオを整理し,環境変化に備えることが戦略的思考といえます。

戦略立案に際しては、人間的な要素をできるだけ排した「ある種の機械的な方法論」で、できるだけたくさんの戦略シナリオを作り、環境変化への対応を事前に準備しておくタイプの思考が有効と考えられます。

また、環境変化を伴う戦略の再立案には、直感は役に立たないという点も重要です。直感は慣れ親しんだ因果関係の枠組みの中でのみ有効な思考方法なのです。

最後に、孫子やナポレオンの兵法に端的に示されるように、戦略の極意は戦力集中にあるようです。経営学でも戦力の集中と戦略の一貫性が重要視されています。反面、多角化についての提言も集中に関する提言と同じ数だけ行われてきました。たとえばストークやシュールマンらによるケイパビィリティ理論は、ケイパビリティを選択し貫くことが競争優位を高めるとした後、ケイパビリティーを活用できる新たな市場と商品を確立することが永続する企業経営の根幹となるとしています。非常に巧みな論理で、戦力の集中と多角化をつなぎあわせているといえます。多角化が必要になるのは、戦いに勝ってしまうと戦う相手を探さなくてはならず、戦う相手がなくなれば組織は必ず自己崩壊へ向かっていくという成長の限界法則が当てはまってしまうからです。