MBAとは

 
 日本メディアはMBAを正しく伝えているか? 

 *(注)この原稿は刊行記事の元となった原稿のテキスト部分。
     雑誌記事とは異なります。

 MBA(Master of Business Administration)のメディアでの取り上げられ方を考えたい。MBAの日本語に当たるものは経営学修士号。日本国内にもMBAスクールが創設されているが、現在のところ、海外に留学してMBAを取得する人が多い。留学してMBAを取得する過程については昨年刊行された『MBA留学ハンドブック―思い立った瞬間から卒業するまで』(岡玄樹 (著) 文芸社 (2006/12))に詳しい。

さて、本題。MBAはメディアがもっとも好む学位だろう。MBAの他にこれほどメディアが取り上げる学位はないからだ。

取り上げ方にはパターンがある。

・MBAは日本の大手企業または伝統企業では
  活用できない。
・外資系の金融機関やコンサルティングファーム
  への就職には有利だ。
・MBA取得者は特別な待遇を求める。
・本当に優秀な人はMBAを求めない。

この4点だが、本当にそうか?

他に、有名校でないと行く価値がない、あるいは、会社費用負担の派遣は採用活動のためのイメージ作りにすぎない、というつまらない言で誌面を埋める書き手もいる。MBAの本質とは関係ないことだ。

筆者は10年以上1000人規模のMBA取得者、取得希望者の団体を運営している。その経験から見て、多くのMBAに関する記事に書き手の偏見が紛れ込んでいると感じる。

例えば、日本企業、外資系云々について。たしかに外資系で働くMBAは多い。しかし、日本企業で働くMBAの方が多い(統計にもよるがおよそ8割)。また、日本からは毎年300人程度が会社派遣でMBA取得に向かう。日本企業がMBAを活用する道を探っていると解釈する方が自然ではないか?

MBA取得者の態度についての揶揄についても言を呈したい。MBAスクールに通って感じることの1つは、世界から集まるMBAを目指す若人のコミュニケーション能力の高さだ。日本人が海外のMBAスクールに通うと、自分たちのコミュニケーションがいかに稚拙であるかを思い知らされる。また、在学中には、経営者としてどう行動すべきかを何度も考えさせられる。そういう学習をしてきた人が、態度不良で回りから浮いてしまうということは考えにくい。『MBA100人が選んだベスト経営書』(東洋経済新報社(2001/02))にはMBAホルダーの経営や組織への熱い思いが表れている。こうした嗜好を持つ人材の社会全体での活用法を伝えるのがメディアではないだろうか?

そして、実際に体験した人の一番の衝撃はMBAスクールの仕組みに内在される進化する構造だ。組織をより良くしていくことがMBAのテーマであるので、当然ではある。それでも学校や講義をより良くしていこうとするエネルギーには驚かされる。これまでのMBA教育を振り返り、進化する方向性を示唆している本に『MBAが会社を滅ぼす マネジャーの正しい育て方』(ヘンリー・ミンツバーグ (著), 池村千秋 (翻訳) 日経BP社 (2006/7/20) )がある。MBAがこれまで以上にコミュニケーションに重きを置く方向にあることがわかる。

日本のメディアは進化できるだろうか?