MBAとは

 記事への反論 *(注)この原稿は刊行されていない

  プレジデント2007.10.15号の記事『法科大学院、MBAの損得勘定』にはまたもやありきたりのMBA論が掲載されている。わたしも取材に協力したので、記事の筆者が実際に取材をしていたことはわかっている。取材をしたうえでこんなありきたりのことしか書けないのが不思議だ。こんなことが書かれている。「MBAを取得したらいい就職先がみつかるとか、給料や地位があがると考えるのはは愚かなことだ」。愚かでかまわないのだが、そんなことを考えている人はいるのだろうか?そんなこを考えている人はいないのにあえて書く意図はなんなのか?筆者が偏見を持っていたということを書きたかったのか?「企業の人事担当者にもMBAについて話を聞いたが、『日本の大企業ですぐに活かすのは無理』『優秀という考えはない』『ハーバードのMBAを持ち人脈もある人は一目置くが無名大学のMBAで優秀と思う人に会ったことがない...』。本当に取材したのかどうかも怪しいが、仮に取材をしたのだとしても、この見識の低い意見をあえて取り上げる意図はなんなのだろうか?
隣のページにはUSNEWS誌のMBAスクールランキングに著名な日本人卒業生を数人あてがった図を大きく載せている。本家のUSNEWS誌ではどの学校を出てどの分野に就職すると年収がどれだけになっているかという統計データが紹介されている。

事実や統計を使って経営を行うべきということは、MBAスクールで教えられることの1つだ。ジャーナリズムの世界ではそういうことは教えられないのだろうか。

最近、日本国内の大学にもMBAスクールが創設されているが、まだ海外、特に米国の大学の水準を目指して奮闘している段階だ。ジャーナリズムに至っては、日本国内の大学院は数校しかないという。学校、あるいは教育にできることにはもちろん限界がある。しかし、一定水準のスキルを量産するには現在知られているもっとも効率がよい仕組みではないだろうか?

米国では、フルタイム、パートタイム、エグゼクティブなど形態はさまざまだが、年間に5万人以上がMBAを取得する。日本人の場合、海外での取得者が毎年700人程度、日本国内での取得者が500人程度と推定されている。5万人対1200人の意味はどう考えたらよいのだろうか?この大きな違いは日本企業が優れた技術や多くの顧客を持ちながら、海外の企業に比べて市場からの評価があまりにも低い(≒時価総額が小さい)ことにつながっていないだろうか?米国は日本人を含めてMBAだけで毎年1万人以上の留学生を迎えている、これに対して日本はどうだろうか?米国や欧州より日本で学びたいと思う海外の留学希望者はどれだけいるのだろうか?なぜ、日本の多くのMBA取得希望者がマンションが変えるくらいの投資をし2年間職を離れてまでして留学しなくてはならないのだろうか?(米国ではフルタイムとパートタイムのMBAがおよそ半々)。MBAから見えてくる本当の損得勘定はなんなのだろうか?読者の皆さんにも少しMBAについて興味を持っていただければと思う。3冊紹介する。
MBA留学ハンドブック―思い立った瞬間から卒業するまで
岡 玄樹 (著) 文芸社 (2006/12)
MBAが会社を滅ぼす マネジャーの正しい育て方
ヘンリー・ミンツバーグ (著), 池村 千秋 (翻訳) 日経BP社 (2006/7/20)
MBA100人が選んだベスト経営書
東洋経済新報社(編集) 東洋経済新報社 (2001/02)